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人材確保調査結果

人材確保に関する定量調査2018~厳しい人手不足が続く。ESの取り組みは進展~調査研究委員会

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 ショッピングセンター(以下、SC)における人手不足が厳しさを増すなか、(一社)日本ショッピングセンター協会(以下、当協会)は、2018年1月24日に「ショッピングセンターにおけるES宣言・行動指針」を発表し、SC業界をあげて人材確保・ES向上の取り組みを推進している。
 本稿では、人材確保に関する情報提供の一環として調査研究委員会が実施した「人材確保に関する定量調査2018」の概要を紹介する。
●調査期間
 2018年10月22日~11月30日
●有効回答数
 ディベロッパー:回答数182社、回答率56.9%
 テナント:回答数95社、回答率29.7%
(注)人材確保に関する定量調査は2015年度から毎年実施している。

人手不足と離職の悪循環

 ディベロッパー(以下、DV)にテナント従業員の充足度について聞いたところ、「充足していない」「やや充足していない」と回答した企業の割合が70.3%(前年71.9%)を占めている。前年と比べ大きな変化はなく、厳しい人手不足が続いていることがわかる(図表1)。

図表1 SC内のテナント従業員は充足しているか(ディベロッパー回答)

 次に、テナントに採用困難度を聞いたところ、「非常に困難」「やや困難」と回答した割合は、正規社員で89.5%(前年96.3%)、非正規社員は98.9%(前年98.8%)となった。正規社員の採用困難度は若干の改善が見られたものの、非正規社員ではほとんどのテナントが採用難に直面し、厳しい状況が続いている(図表2)。

図表2 テナント従業員の採用困難度(テナント回答)

 またDVとテナントの回答を比較するとDVの認識以上にテナントは人手不足に苦しんでおり、認識に差があることも分かった。
 テナント従業員の平均勤続年数について聞いたところ、正規社員が9年8カ月、非正規社員が4年2カ月となっている。主な離職理由について、正規社員は「仕事の内容が合わなかった」が62.1%(複数回答)ともっとも多く、具体的には「勤務時間の長さ」「休日の少なさ」「想像していたより仕事が大変だった」との声が挙げられた。人手不足による長時間勤務・業務増がさらなる離職につながる悪循環となっている。
 非正規社員は、正規社員と同じく「仕事の内容が合わなかった」がもっとも多く、それに次ぐ「職場の雰囲気に馴染めなかった」「職場の人間関係」も50%以上となっており、非正規社員の定着には収入面よりも職場内のコミュニケーションや風通しのよさが極めて大切であることが伺える。
 なお、離職理由の「職場の人間関係」について、さらに細かく「対上司」「対同僚または部下」に分け、どちらが離職につながったか調査したが、大きな差は見られなかった(図表3)。

図表3 離職理由で該当するもの、あるいは考えられるもの(複数回答)(テナント回答)

営業時間短縮と休業日数増

 DVに営業時間について聞いたところ、2015年4月以降に全館または一部テナントの営業時間を短縮したSCは276SC中38SC(13.8%)となっており、昨年度調査(12.4%)と比較し、短縮を進めるSCは増加傾向にある。営業時間を短縮する業種は、物販(19SC)、次いで飲食(17SC)となっている。キーテナントの営業時間短縮の動きはほかの業種と比べ鈍くなっている(図表4)。

図表4 2015年4月以降の営業時間の変更有無と変更内容(複数回答)(ディベロッパー回答)

 営業時間短縮の理由は、「業務の効率化/売上げが多い時間帯に人材を集中させるため」(13SC)、「テナント従業員の人手不足のため」(11SC)、「従業員の労働条件改善のため」(9SC)、「お客様の利用状況/売上状況に合わせて」(8SC)となっており、お客様都合よりもテナントの人手不足を背景とした理由が多い。
 また、2019年以後営業時間の短縮を予定しているSCは43SC(16%)あり、営業時間の短縮は拡大傾向にある。内訳としてはSC全体(全業種)で短縮を予定しているSCがもっとも多く、次いで飲食の短縮を予定しているSCが多い(図表5)。

図表5 今後の営業時間の変更予定の有無と変更内容(複数回答)(ディベロッパー回答)

 休業日数についても、無休(休業日数0日)のSCは年々減少傾向にある(図表6)。

図表6 SCの年間休業日数(ディベロッパー回答)

 ES向上やテナントの人手不足を背景に、SCの営業時間短縮と休業日数の増加傾向は、今後も継続することが見込まれる。

待遇改善の取り組み

 テナントが社員の就業意欲向上のため行っている取り組みは、「正規社員への登用」がもっとも多く、約8割の企業が実施する。また、「賃金アップ」が62.1%、「労務条件の改善(休業日数増、他)」(55.8%)とあわせ、待遇改善に取り組んでいることがわかる(図表7)。

図表7 社員の就業意欲向上のための取り組み(複数回答)(テナント回答)

テナント企業からDVへの要望

 テナントに“人材確保に関してDVへ要望/期待するサポート”について聞いたところ、「営業時間短縮」、とくに「閉店繰上げ」が69.5%ともっとも多かった。理由として、「営業時間の長いSCでは長時間勤務となり社員の負担が大きい」「夜の売上げが低下し採算性が悪くなっている」との声が挙げられた。次いで「テナント向け従業員施設の充実」「休業日を設けるまたは増やす」が同率(56.8%)となった。期待する休業日数は「12日以上」と回答したテナントが半数近くにのぼり、毎月1回以上の休業を希望する声が多い。
 また、「お正月などの大切な祝日に従業員が家族や友人と過ごす時間を尊重すべき」という意見もあり、とくに年始の休業を重視していることが伺える(図表8、9)。

図表8 人材確保に関するディベロッパーへ要望/期待するサポート(複数回答)(テナント回答)

図表9 期待する年間休業日数について(テナント回答)

全体を通じて

 今回は、「ショッピングセンターにおけるES宣言・行動指針」(2018年1月24日)を発表後、初めての調査となった。調査を通じ、営業時間短縮やテナント従業員の待遇改善などES向上施策に進展が見られた一方、依然として厳しい人手不足が続いていることも明らかになった。

 少子高齢化・人口減少の進展により、SCにおける人手不足は今後も厳しさを増すと想定され、従来の人材確保・ES向上の取り組みだけでなく、ICT技術を活用した後方業務削減など、いわゆる生産性の向上も必要になると考えられる。
 そして今後もDVとテナントが協力し、SC業界をあげて人手不足対策に取り組むことが求められている。

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