お知らせ

2019/01/01 更新 2019年 年頭所感

一般社団法人日本ショッピングセンター協会 会長 清野 智
(東日本旅客鉄道株式会社 顧問)

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

今年は改元により平成の時代が幕を下ろし、新たな時代を迎えることになります。この三十年間を振り返ると、バブル崩壊後長期に及ぶデフレが完全に払拭されないなか、人口減少や少子高齢化が相当なスピードで進行しました。また、近年一部の国に自国主義が台頭する動きがあるものの、人・物・経済のボーダレス化が一段と進展するとともに、IoT、AIなど革新的なテクノロジーが登場し、いわゆる第四次産業革命の時代に入ったとも言われています。またこうしたなか、激甚な災害に相次いで見舞われたことを契機に安全安心で強靭な社会づくりへの関心が改めて高まっています。

これらの潮流の変化は広範かつ急激で、SCのあり方にも大きな影響をもたらしています。消費市場の伸び悩み、人手不足の深刻化、eコマースの急速な台頭などの課題が顕著になる一方、ニューテクノロジーを活用した新たなサービス・商品の提供や生産性の向上、内外の交流人口の増大や健康長寿社会に対応した市場の拡大などの可能性が拡がり、新しい挑戦分野も拡大していくものと思われます。安全安心なSCづくりに一層注力するとともに、これらの潮流にどう向き合っていくか、不断の地道な取り組みと同時に、変化への対応、イノベーション力が問われる時代に入ったといえます。

これまでSCはディベロッパーとテナントが役割とリスクを分担しつつ、協力しながら発展を続けてきました。今後もさまざまな変化に柔軟に対応しつつ人々に豊かさをもたらし地域のインフラ基幹産業としての役割を発揮していかなくてはなりません。

ひるがえって、SCの足元の状況を見ると個人消費は緩やかに回復していると言われていますが、なお力強さに欠けています。そのようななかで今年の10月には消費税率の改定が予定されています。政府は景気減殺効果を緩和すべくさまざまな対策を立案していますが、協会としても政府に対して、軽減税率と基本税率の仕分けの明確化や実効ある反動減対策の推進などを要望するとともに、会員の皆様への各種情報の提供に努めてまいります。

テナント従業員の人手不足対策については、協会としても「ショッピングセンターにおけるES宣言・行動指針」に沿って各般の施策を講じ、また会員企業においては、従業員の労働環境の改善や営業時間の見直しなどの取り組みが行われていますが、今後はこれと並行してテクノロジーの活用にも留意しつつ、店舗やSC運営に関する業務効率の改善を通じて生産性の向上に注力することも不可欠と思われます。

また昨年は日本各地で災害が相次いだものの、訪日外国人は3,000万人を超え、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年には4,000万人が視野に入ってきました。2025年の大阪万博などを展望すると内外の交流人口は一層拡大すると見込まれます。協会としても多言語対応の支援ツールを紹介するなどの施策を進めていきますが、SCにおいては、引き続き訪日外国人のみならず内外のさまざまな人々が安全で快適にお買い物などを楽しめる環境づくりに努めることが望まれます。

以上、年頭にあたり所感の一端を申しましたが、新年が新たな時代への飛躍に向けて実り多い1年となりますよう心よりお祈り申し上げるとともに、本年も協会活動への格別のご理解、ご協力をお願いいたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。

(注)SC=ショッピングセンター

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