お知らせ

2026/01/01 更新 2026年 年頭所感

 謹んで新年のお慶びを申しあげます。

 昨年を振り返りますと、世界情勢において大きな変動が続いた一年でした。米国の第2次トランプ政権による強硬な通商政策が国際経済に緊張をもたらし、ロシアや中東では紛争が長期化するなど、地政学リスクが高まる状況が続いています。わが国では、世界中から注目を集めた大阪・関西万博が成功裏に終わり、秋には初の女性首相となる高市政権が誕生しました。景気は緩やかな回復基調にあり、企業の賃上げも進展を見せた一方で、物価上昇率は高水準で推移しており、個人消費に及ぼす影響には引き続き注視が必要な状況です。

 ショッピングセンター(以下、SC)業界については、既存SCの売上高は、物価高や猛暑の影響を受けながらも、全体的には前年実績を上回り堅調に推移しました。一方で、新規開業SC数は建築コスト高騰の影響を受け、統計開始以来最少の18SCにとどまりました。老朽化や再開発により閉鎖したSCもあり、全国のSC総数は、前年の3,065SCから13SC減少し、3,052SCとなりました。なお、2025年の新規開業SCは、平均店舗面積やテナント数が前年から大幅に増加し、1SCあたりの規模は大きくなっています。こうした状況を踏まえると、SCは量的拡大から質的向上へと転換する重要な局面にあるといえます。そのような背景のもと、2026年にSCと当協会が目指すべき方向性は、以下の3点にあると考えています。

 第一に、「働きやすい職場環境の整備」です。人手不足が深刻化する中、安定的な人材確保はSCにおける喫緊の課題です。パートタイマー、外国人労働者、子育て世代など多様な人材が安心して働ける環境づくりを進め、ディベロッパーとテナントが真摯に向き合い、相手の立場を尊重しながら議論を重ね、課題解決に取り組む必要があります。AIやロボットなど先端技術の活用による業務の最適化・効率化も、重要なソリューションとなります。当協会でも、売上報告業務の効率化などの取組みを、会員の皆様のご協力をいただきながら推進しています。

 第二に、「地域社会の持続的な発展への貢献」です。SCは今や、防災拠点としての機能や行政サービスの提供機能を担うなど、地域の生活基盤として重要な役割を果たしています。地域住民との共創イベントの開催や、環境保全への取組みなどを通じて、地域との共生をいっそう進め、豊かな暮らしと魅力あるまちづくりに寄与することが求められています。

 第三に、「リアルの場の強みを活かした来館価値の向上」です。顧客の消費行動が変容し、モノへの消費にとどまらず、スポーツやエンターテインメントなど、体験や交流を提供するコンテンツへの積極的な消費が拡大しています。SCにおいても、こうした新しい消費スタイルを柔軟に取り入れ、リアルの場だからこそ得られる価値を提供することが期待されています。顧客との接点を深め、多様化するニーズに応えることにより、リアルの場でしか得られない体験や感動を創出し、訪れる価値のある場としての魅力を高めていくことが重要です。

 さて、当協会は1月21~23日の3日間、毎年恒例の「日本ショッピングセンター全国大会」をパシフィコ横浜で開催いたします。諸先輩方および皆様のご支援により、今回で節目となる第50回を迎えることとなりました。SC業界に携わる多彩な関係者の方々との交流を通じて、今後のSCのあり方について有益な示唆を得られる場になると思いますので、ぜひご来場のほどお願い申しあげます。

 本年も当協会への格別のご理解、ご協力をお願いいたしまして、年頭の挨拶とさせていただきます。

一般社団法人日本ショッピングセンター協会 会長 菰田 正信
(三井不動産株式会社 代表取締役会長)

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